平成13年度においては、アグロバクテリウム湿潤法により、効率のよい形質転換法を確立し、cDNA : GFP融合遺伝子導入シロイヌナズナを約5000系統作出し、GFPを発現する数百個体を得ることに成功した。これらのGFPを発現する個体は、細胞質及び核に一様にcDNA融合GFPが発現する個体群、細胞壁に局在する個体群、細胞質に点在するように局在する個体群、液胞に局在する個体群、核に局在を示すもの等に分類された。このうちの1株について導入されたcDNAの塩基配列を解析してみると機能未知な新規核タンパク質をコードする遺伝子であることが判明した。現在もさらに形質転換を繰り返しGFP : cDNA融合遺伝子発現系統を次々と作出している。 一方、同定された新規遺伝子全長について、前後にGFP遺伝子を融合して発現させ、細胞内局在をトポロジカルマッピングにより詳細に解析すると核小体を除いた核マトリクス全体に局在することが観察された。またこのタンパク質について大腸菌における大量発現系の構築に成功した。現在立体構造を決定するための結晶化、DNAとの結合能を調べるためのゲルシフトアッセイなどを行いこの新規なシロイヌナズナ核タンパク質の機能解析・構造解析を進めている。 この遺伝子の同定及び機能解析については、2001年9月26目〜28目に山梨大学で開かれた2001年度目本生物工学会において「植物細胞内局在タンパク質の可視化および同定」というタイトルで発表した。
|