研究課題/領域番号 |
12470002
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 真 福井医科大学, 医学部, 教授 (10222019)
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研究分担者 |
八木 秀司 福井医科大学, 医学部, 助手 (10303372)
永野 隆 福井医科大学, 医学部, 助手 (70272854)
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キーワード | アクチン / アクチン結合蛋白 / フィラミン / 葉状仮足 / 細胞骨格 / 移動 / ラメリポディア |
研究概要 |
我々は、細胞の繊維状アクチンの動態制御に関わり、葉状仮足の形成を大きく変化させる新規分子S-FILIPとL-FILIPをラットにて同定した。なおL-FILIPはS-FILIPに加えN端側に247アミノ酸が加わった分子であった。FILIPは、アクチンフィラメント結合分子であるフィラミンA(フィラミン1)に共通のC端側で結合する分子であり、現在までにFILIPによりフィラミンAの分解が促進され、その結果細胞内の繊維状アクチンが低形成となり、葉状仮足の形成低下、更には細胞移動度の低下にいたる一連の過程を定性的に明らかとしてきた。 本年度は、繊維状アクチンが低形成になる様子の詳細を定量的に検討した。まず、FILIPの葉状仮足の形成能に及ぼす作用をwound healing assayにて定量化し、GFPのみを発現する細胞では68%の細胞が葉状仮足を有していたが、S-FILIP-GFPを発現する細胞ではそのうちの28%に、L-FILIP-GFPを発現する細胞では4%の細胞にのみ葉状仮足が生じることを観察した。さらに、葉状仮足の形成能の変化に重要な役割を担うものと考えられる繊維状アクチンの様子をS-FILIP、L-FILIP導入細胞にて定量的に観察した。細胞をその繊維状アクチンの状態により「繊維状」、「点状(または非常に短い繊維状)」「その両者が混在」に分けるとき、S-FILIP導入細胞では、70%強が「繊維状」であり、8%程度が「点状」であったが、L-FILIP導入細胞では5%程度が「繊維状」、約70%が「点状」であった。この結果はS-FILIPよりL-FILIPの導入にて細胞の移動能や葉状仮足の形成が低下することとよく整合するものであった。以上に加えて、in vivoでの解析を進めるべくFILIPのノックアウト動物の作製を進めた。
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