H12年度は、方法の確率と予備的な実験を行った。実験方法は、モルモット及びラットの心臓をコラゲナーゼ処理することによって単一の心室筋細胞を分離した。倒立顕微鏡下、細胞像をイメージセンサーに投影すると、サルコメアのパターンに応じてサイン波状の光強弱が電気シグナルとして記録できる。この電気シグナルをA/D変換器を介して2msecの間隔でコンピュータに取り込んだ。独自の波形解析用プログラムを開発し、このシグナルから、平均筋節長と個々の筋節長を求めた。コンピュータプログラムは、最初Visual Basicで作成したが、計算速度が遅く実験効率が十分でなかった。そこで、Delphiでプログラムを書き直したところ、ほぼon lineでの解析が可能になった。細胞の収縮に伴って、対物レンズの焦点から解析中の筋節がずれることがあったので、細胞を固定するため、記録槽のそこにポリアミンを塗布し、細胞を接着する必要があった。 実験結果として、細胞の収縮時、個々の筋節長の短縮に僅かのバラツキがあることが観察されたので、これを一個の細胞での筋節長の偏差値として定量的に解析すると、収縮のピークで約10%程度の偏差値の上昇を認めた。個々のサルコメアの収縮を連続記録すると、それぞれの収縮パターンが僅かに異なることが確認された。一個の細胞の中で、個々の筋節の収縮の程度がバラツキを見せることはこれまで明快な報告はなく、このメカニズムを現在詳細に調べている。本年度、洞房結節細胞の自動性に関する論文が2編印刷された。
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