研究課題/領域番号 |
12470012
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
菅屋 潤壹 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50109352)
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研究分担者 |
加藤 雅子 愛知医科大学, 医学部, 助手 (70308956)
杉山 由樹 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (50240809)
松本 孝朗 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (60199875)
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キーワード | 皮膚血流 / 発汗 / 血管運動 / 汗腺 / レーザードップラー血流計 / 血管拡張神経 |
研究概要 |
皮膚血管拡張機構のうち能動性血管拡張と呼ばれる機構が発汗神経を介して生じるか、血管拡張神経を介して起こるかについては永く論議されている。発汗神経が関わるとすれば血管拡張は汗腺周囲に限局することが予測される。本研究では、2種類の実験によって汗腺活動と皮膚血流の二次元的な分布を検討することによりこの仮説を検証した。1)着色法(和田・高垣法)により限局皮膚面で個々の能動汗腺の位置を同定し、汗腺部とその周辺部について皮膚血流反応に差が生じるか否かをレーザードップラー血流計(LDF)のマイクロスキャニングにより検討した。高温環境下で前腕、背部、大腿部を対象とし、4チャネルLDFプローブの1チャネルの受光部を汗腺の位置に、他のチャネルを無汗腺部に当てて同時記録を行った。その結果、汗腺部もその他の部位もまったく同じ血流レベルを示し、また一過性に現れる血管拡張反応もすべての部位で同期した。この結果は、皮膚血管拡張反応は能動汗腺に一致したものではく、汗腺以外にも均一に分布することを示唆する。ただし、血流測定の分解能に限界(1mm程度)があることや、非能動汗腺を同定できないことなどは未解決の問題として残る。2)広い皮膚面に対して発汗量のマッピングを行い、LDFスキャニングによる血流画像化装置により得た皮膚血流のマッピング画像と対比した。発汗量のマッピングは、多チャンネル(5、6チャンネル)の換気カプセルを用いて(30〜36点)等発汗量曲線を描く方法と、着色法(ミノール法)を用いて写真撮影する方法を用いた。換気カプセル法による方法は着色法によるものより解像度が劣った。しかし、いずれの方法でも若干の例において発汗活動が高い部位と皮膚血流が多い部位が一致したものの、多くの例では一定の関連が認められなかった。以上、方法論の問題は残るが、二次元的に見て皮膚血管拡張と汗腺活動は必ずしも一致しないことから、皮膚には血管拡張神経が存在することが示唆される。
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