筋小胞体カルシウム遊離チャネルの新規活性調節因子の探索とその作用機構の解明

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470014
• 研究機関: 弘前大学
• 研究代表者: 古川 賢一 弘前大学, 医学部, 助教授 (20165468)
• 研究分担者: 大島 吉輝 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00111302) ; 瀬谷 和彦 弘前大学, 医学部, 助手 (40281919) ; 元村 成 弘前大学, 医学部, 教授 (40091756)
• キーワード: 細胞内カルシウムイオン / 筋収縮 / カルシウム遊離 / 天然生理活性物質

研究概要

カルシウム遊離に影響を与える天然生理活性物質の探索とその作用機構の解明。
A)ブドウ科の植物由来の天然生理活性物質vitisin Cは筋弛緩作用を有することが我々のスクリーニングで明らかになったので、その作用機構の解析を行った。viticin Cはカルシウムチャネルを活性化し、細胞質のカルシウムイオン濃度を上昇させたが、筋細胞ではなく内皮細胞により強く作用することで内皮細胞内でのNO(一酸化窒素)の合成を促進し、それが筋細胞に作用して弛緩させることがわかった。しかし、カルシウムチャネルが従来のチャネルと異なる可能性が示唆されたので、現在その同定を行っている。(J. Natural Products投稿中)
B)海洋藻類由来の天然生理活性物質Zooxanthellatoxin Bは筋収縮作用を有する。その作用機構の解析を行った。Zooxanthellatoxin Bは濃度依存性の収縮を引き起こしたが、その作用は細胞外のカルシウムの除去あるいはカルシウムチャネルブロッカーによって部分的に阻害された。従って、Zooxanthellatoxin Bによる収縮の一部は細胞外からのカルシウム流入を起こすことによることが明らかになった。しかし、細胞外のカルシウム除去によっても収縮が残るが、細胞内カルシウムキレート試薬BAPTAによってほぼ完全に収縮が阻害されることから細胞内貯蔵部位からのカルシウム遊離も関与していることが示唆された。(Can. J. Physiol. Pharmacol. 2001)

研究成果

• [文献書誌] Uwai, K.: "Virol A, a Toxic Polyacetylenic Alcohol of Cicuta virosa, inhibits the GABA-induced Cl-Current in the Rat Hippocampal CA1 Neurons"BRAIN RESEARCH. 889. 174-180 (2001)
• [文献書誌] Terui, K.: "Coronary vasodilation and positive inotropism by urocortin in the isolated rat heart"JOURNAL OF ENDOCLINOLOGY. 169. 177-183 (2001)
• [文献書誌] Fujiwara, H.: "Halenaquinone, a novel phosphatidyl inositol 3-kinase inhibitor from a marine sponge, induces apoptosis in PC12 cell"EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY. 413. 37-45 (2001)
• [文献書誌] Akaishi, K.: "Analysis of genes regulated by CTGF/HCS24 in ligament cells from patients with ossification of the posterior longitudinal ligament"HIROSAKI MED. j. 52. 66-71 (2001)
• [文献書誌] Moriya, T.: "The vaso-contractile action of zooxanthellatoxin-B from a marine dinoflagellate is mediated via massive Ca2+ influx in the rabbit aorta"CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY. 79. 1030-1035 (2001)