1.AZ1欠損マウスの部分致死性の解析:昨年までに1系統のAZ1ノックアウトマウスを作製し、ホモ欠損体の表現型として周産期部分致死性を認めていた。癌研・東北大・野田哲生博士らとの共同研究として新たに異なるコンストラクトを用いて変異アレルを導入したES細胞2クローンに由来する2系統のノックアウトマウスを作製した。F2の遺伝子型解析により、最初の系統と同じくホモ接合体が周産期部分致死(胎生後期〜生後3日で50〜70%が死亡)となることを確認した。また最初の系統をC57BL/6(B6)へ7代戻し交配した群(B6N7)ではAZ1欠損ホモ接合体の生後3日目までの致死率は約70%であったが、B6N10ではホモ接合体の子宮内致死率が95%以上ときわめて高くなり、表現型に影響を与える遺伝因子の存在が示唆された。このB6N10の胎仔解析により、死亡の時期は主に胎生13.5〜16.5日であること、この時期のホモ接合体には発育遅延および肝臓と心臓の低形成が高率に見られること、生化学的には肝臓のオルニチン脱炭酸酵素活性(ODC)とプトレッシン含量が特に高値を示すことを明らかにした。 2.AZ1欠損培養細胞における検討:B6N7より調製した初代培養胎児線維芽細胞をSV40 Large T遺伝子の導入によって不死化した細胞において、AZ2がポリアミン依存的にODCの抑制とポリアミンの細胞内への取り込みの阻害を行っていることを確認した。 3.AZ1-AZ2二重欠損マウスの解析:米国ユタ大学との共同研究としてAZ1-AZ2二重欠損マウスを作製を試みている。二重ヘテロ接合体の交配で出生した約200匹の遺伝子型解析の結果、AZ1^<-/->AZ2^<-/+>やAZ1^<-/+>AZ2^<-/->は見られるが、AZ1^<-/->AZ2^<-/->は見いだされていない。
|