研究概要 |
1.Auroraのリン酸化コンセンサス配列を決定した。ヒストンH3の28番目のセリンもAuroraによりリン酸化されることを証明した。またAuroraの自己リン酸化部位を同定し,リン酸化モノクローナル抗体を製作し細胞内においても自己リン酸化部位が生理的にリン酸化されることを確認した。 2.Auroraはオカダ酸感受性のフォスファターゼにより不活性化される機構を解明した。 3.Aurora-Aのタンパク質分解機構として,APC (anaphase-promoting complex)の活性化タンパク質であるCdh1/Hct1に依存してユビキチン化され分解を受けることを証明した。 4.Auroraファミリーすべてを認識するモノクローナル抗体を作製した。 5.染色体リモデリング複合体であるNuRDのサブユニットであるMBD3は細胞分裂中期においてリン酸化を受け,in vitroにおいてMBD3はAurora-Aによりリン酸化されることを証明した。 6.蛍光蛋白質との融合蛋白質としてAurora-A,ヒストンH3,Importin αを発現する細胞株を樹立した。生きたままの状態でAurora-Aの分子レベルの挙動を,最新のタイムラプスイメージング技術により詳細に検討を加えた。 7.Polo-like kinaseのファミリーであるSNKに対するモノクローナル抗体を作製した。この抗体を用いて甲状腺がんの早期診断が可能であることを明らかにした。 紡錘体形成およびG2/M期を制御するプロテインキナーゼ群は,様々ながん細胞においてDNA増幅や蛋白質の発現増強が高率に認められている。この研究により,これらのキナーゼ群はがん治療の新しい分子標的となり得ることが判明した。
|