研究課題/領域番号 |
12470041
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
中村 卓郎 財団法人 癌研究会, 癌研究所・発がん研究部, 部長 (00180373)
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研究分担者 |
斎木 由利子 財団法人 癌研究会, 癌研究所・発がん研究部, 研究員 (80311223)
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キーワード | キメラ型転写因子 / 標的遺伝子 / Ewing肉腫 / 明細胞肉腫 / 転写調節 / EWS-FLI1 / EWS-ATF1 / DIGR法 |
研究概要 |
ヒト軟部肉腫では腫瘍特異的な染色体相互転座のために二つの遺伝子が互いに融合し、キメラ型転写因子が形成される例が多い。このようなキメラ型転写因子の標的遺伝子を包括的に同定しその機能を考察するために、前年度までに開発したDIGR法を用いて、転写因子が細胞内で結合するDNA配列を直接単離し標的遺伝子を同定した。キメラ型転写因子を発現しているEwing肉腫と明細胞肉腫において、腫瘍細胞内でクロマチンDNAと核蛋白をクロスリンクし、抗FLI1或いは抗ATF1によりそれぞれEWS-FLI1、EWS-ATF1が結合しているDNA断片を精製した。このDNA断片をgreen fluorescent protein(GFP)を発現するベクターに組み込んでライブラリーを作製し、転写活性型EWS-FLI1、EWS-ATF1を組み込んだ発現ベクターとともにHeLa細胞に導入して陽性クローンを単離した。得られた候補遺伝子の腫瘍細胞における発現、さらにキメラ遺伝子の導入による発現の差をNorthern blotting或いはRT-PCRにより検討している。現在迄に明細胞肉腫において、EWS-ATF1の標的遺伝子としてPOSH、ATM、ARNT2、GPP34、NKX6.1、NYD-SP28の各遺伝子を同定した。EWS-ATF1はPOSHの発現を抑制し、他の遺伝子の発現を活性化した。POSHは明細胞肉腫では発現が抑制されているが、外来性のPOSHを導入するとアポトーシスを誘導することが示され、EWS-ATF1がPOSHの抑制を介してアポトーシスを回避させることが腫瘍化の機構として重要である可能性が示唆された。
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