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2001 年度 実績報告書

膵癌の発生・進展に関与する遺伝子異常の解析

研究課題

研究課題/領域番号 12470043
研究機関東北大学

研究代表者

堀井 明  東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40249983)

研究分担者 星 雅人  東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20323008)
福重 真一  東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90192723)
キーワード膵癌 / SMAD4遺伝子 / 18q / BAI1遺伝子 / 遺伝子治療 / 1p36-p35 / RIZ遺伝子 / MSI
研究概要

1.これまでに我々は、膵癌において18qの欠失は高頻度に見られる初期変化であり、かつ予後不良と相関することを報告してきた。しかし、SMAD4遺伝子に異常の見られない膵癌細胞株とホモ欠失のある膵癌細胞株とにSMAD4遺伝子を導入しても増殖制御が見られないことも発見していたため、18qの標的遺伝子はSMAD4以外である可能性も考えられた。そこで、膵の前がん病変と位置づけられる粘液産成膵腫瘍を解析したところ、18qの欠失は高頻度に見られ、欠失のfocusはSMAD4遺伝子近傍であるにも拘わらず、同遺伝子ならびにタンパク発現には全く異常が見られなかった。また、膵癌株に正常18番染色体を導入すると、SMAD4遺伝子の異常の有無に無関係に増殖抑制効果が見られた。このことから、SMAD4近傍に未知の癌抑制遺伝子が局在し、この遺伝子機能の喪失が膵癌発生の初期変化として重要であるという可能性が示唆された。また、BAI1(brain specific angiogenesis inhibitoe 1)による膵がんの遺伝子治療への可能性を示した。
2.1p36-p35領域では多岐に渡るヒトがんにおいて異常が報告されている。同領域の40Mb近くのBAC contigを作成し、同領域の解析を進めた。同領域に局在するRIZ遺伝子を解析し、胃癌、大腸癌、子宮内膜癌などのMSI陽性の癌で高頻度に異常が見られるのみならず、これまでMSI陽性であっても標的遺伝子が不明であった膵癌においても異常を同定し、これらの腫瘍における発がんの標的遺伝子である可能性を示唆した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Semba, S: "Frequent nuclear accumulation of b-catenin (CTNNBI) in human pituitary adenoma"Cancer. 91. 42-48 (2001)

  • [文献書誌] Sun, C.: "Characterization of the mutations of the K・ras, p53, p16, and SMAD4 genes in 15 human pancreatic cancer cell lines"Oncol. Rep.. 8. 89-92 (2001)

  • [文献書誌] Sakurada, K.: "RIZ, the retinoblastoma protein interacting zinc finger gene, is mutated in genetically unstable cancers of the pancreas, stomach, and colorectum"Genes Chromosomes Cancer. 30. 207-211 (2001)

  • [文献書誌] Youssef, E.M.: "Human BAC contig covering the deleted region in pancreatic cancer at 12q21"DNA Seq.. 11. 541-546 (2001)

  • [文献書誌] Makino, N.: "Isolation and characterization of the human gene homologous to the Drosophila Headcase (hdc) gene in chromosome bands 6q23-q24,a region of common deletion in human pancreatic cancer"DNA Seq.. 11. 547-553 (2001)

  • [文献書誌] Inoue, H.: "Exclusion of SMAD4 mutation as an early genetic change in human pancreatic ductal adenocarcinoma"Genes Chromosomes Cancer. 31. 295-299 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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