研究概要 |
先天性肝線維症(CHF)+カロリ病の動物モデルPolycystic kidney(PCK)ラットを用い、CHF+カロリ病の発生プロセスとその病態を検討した。日本チャールズリバー社より入手したPCKラットおよび対照ラット(Crj : CD)を金沢大学医学部附属動物実験施設でSPFで飼育し、コラゲナーゼ還流法により胆管樹を作成し、その後コラーゲン上培養法を用い、肝内胆管上皮細胞を単離、培養し、セルラインを作成した。その後、cDNAマイクロアレイを用い、PCKラットの培養胆管上皮細胞における遺伝子発現を網羅的に解析した.すなわち、PCKラットおよび対照ラット(Crj : CD)の培養胆管上皮細胞より全RNAを抽出後,cDNAを合成し,Atlas^<TM> Glass Microarray(CLONTECH)を用いて,1081種類の遺伝子の発現量を比較検討した.PCKラットで最も発現が亢進していた遺伝子はglycine transporteであった.サイトカイン・増殖因子関連では,PCKラットでbFGF, TGF-βの過剰発現があり,肝線維症への関与が示唆された.また,junD, thymidine kinaseの発現量増加,glutathione peroxidaseの発現量減少がみられ,胆管上皮の細胞増殖促進やアポトーシスなどへの関与が疑われた.肝細胞の分化や再生に関与するannexin 1やPRL-1は,PCKラットで発現量が減少していた.今後,各因子の生物学的意義と発現異常の遺伝子解析を検討する.
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