研究概要 |
(1)ステロイド投与前後における胸腺腫の組織像、増殖能、アポトーシス率の変化を比較検討した.ステロイドの術前投与で、リンパ球減少に加えて、腫瘍細胞も変化し、アポトーシス細胞の増加、細胞増殖能の低下傾向を認めた(virchows Arch,2001).(2)胸腺上皮性腫瘍WHO分類の臨床的有用性と各型のCD4,CD8 double positive(未熟T)リンパ球の割合を解析した.WHO分類は臨床病態を反映し、未熟リンパ球の誘導機能に関し、B1型は胸腺皮質上皮に近く、AB, B2型がこれに次ぎ、B3,A型では著減し、C型では消失していることが判明した(Am J Surg Pathol,2001).(3)胸腺腫WHO分類の組織型と実際の予後との関連を検討した.多変量解析で正岡の病期分類とWHOの組織分類のみが有意な独立予後因子となった(Cancer,2002).(4)WHO分類に記載のない組織型として、間質に豊富なBリンパ球浸潤を伴う微小結節性の胸腺上皮性腫瘍を解析した.良性腫瘍からリンパ上皮腫様癌に至るスペクトラムの存在を指摘した.EBウイルスの腫瘍発生への関与は証明できなかった(Histopathology,2001).(5)組織学的に横紋筋肉腫に似る稀な胸腺腫瘍2例につき、免疫組織化学、電顕ならびに核型を解析して肉腫様癌であることを証明した(Histopathology,2002).(6)胸腺では極めて稀であるMALTリンパ腫を15例蒐集し、臨床病理学的ならびに分子病理学的に検討した(Am J Pathol,2002).(7)胸腺上皮性腫瘍をWHO分類し、放射線科医との共同で、各亜型のCT所見を検討した.ある程度の限界はあるものの、WHO分類の胸腺腫亜型とCT所見に相関が得られた(Am J Roentgenol,2002).
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