BALB/cByJ(BALB)マウスはウレタン誘発肺発癌に比較的耐性を示し、最も高感受性であるA/Jマウスに比べ、その感受性は約14分の1である。我々の研究により、BALBマウスは18番染色体のD18Mit123遺伝子座とD18Mit144遺伝子座に挟まれた約25cMの領域にA/Jの発癌感受性を優性に抑制する遺伝子であるPar2を有することが判明している。今後我々はPar2遺伝子のpositional cloningを最終目標として研究を進めるが、今年度はその前段階として、同遺伝子の染色体上位置をさらに1cM内外に絞るべく、congenicマウスを利用したfine mappingを行った。 まず、D18Mit123とD18Mit144に挟まれたPar2領域をC57BL/6(B6)マウスからBALBマウスへ移入したPar2-congenicマウスの樹立を完了した。B6はA/Jと同じく、Par2の劣性アレル、つまり、発癌抑制作用のないアレルを有することが知られている。次に、Par2のfine mappingを行うため、D18Mit123とD18Mit144の間にrecombinationを有する雄を(BALB x congenic)F_1 x BALB backcross miceより9匹選択し、雌A/Jマウスと交配させた。生まれた子マウスをウレタンにて処理した後、発生肺腫瘍数に関する連鎖解析をPar2に連鎖するinformativeなmicrosatellite marker遺伝子座において行ない、各recombinantのPar2遺伝子型を決定した。この結果を各recombinantの詳細なrecombination位置の情報と照らし合わせ、Par2遺伝子が二つのmicrosatellite markersに挾まれる約0.5cMの領域に含まれることが明らかになった。
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