研究課題/領域番号 |
12470066
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
|
研究分担者 |
成田 新一郎 東海大学, 医学部, 助手 (30338751)
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助教授 (70167063)
|
キーワード | トランスポーター / 排出ポンプ / 抗生物質 / 薬剤耐性 / 膜貫通領域 / MexB / MexAB-OprM / RND-ファミリー |
研究概要 |
薬剤排出ポンプMexAB-OprMは三成分からなる異物・薬物排出蛋白である。このトランスポーターはプロトンの濃度勾配をエネルギー源として構造の異なる複数の抗生物質を排出する。そのトランスポーターの主たる役割を果たすのはMexBサブユニットである。MexBの膜貫通領域(TMS)には5ケの荷電を有するアミノ酸が配置されているがその役割については不明である。そこで本実験ではTMS-2に存在するLys342及びGlu346に場所特異的変異を導入し、これらの座を中性、逆の荷電及び同じ荷電を有する別のアミノ酸に変えたところポンプの機能には影響を及ぼさなかった。従ってこれらの残基は荷電を有することの意味は少ないものと考えられた。次にTMS-4に存在するAsp407、Asp408及びTMS-10に存在するLys-939に変異を導入した。その結果、Asp408及びLys939に関しては同じ荷電を有するアミノ酸に変換した場合にのみポンプは機能した。またこの二つのアミノ酸残基は膜中にあって同じ高さで向かい合って存在すると考えられることから、膜中でイオン結合をすることによって安定化しているものと考えられる。Asp407に関してはどの変異株においてもポンプ活性が消失したかもしくはAsp407Gluの時のみわずかに活性を残した。このことからこのAsp407を介してプロトンが移動するものと解釈できた。Asp407に結合したプロトンは基質がMexBに結合すると同時にAsp408に移り、その時Lys939はAsp407と結合することにより安定化し、やがてプロトンは細胞質に移動するという仮説を築くことができた。このプロセスの進行と同時に基質である抗生物質はMexA/OprMに移されるものと解釈できた。
|