研究課題/領域番号 |
12470067
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅村 和夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20117360)
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研究分担者 |
石井 直人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60291267)
浅尾 裕信 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80250744)
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キーワード | ヒト・パルボウイルス / NS1非構造蛋白分子 / 細胞周期制御 / アポトーシス / 胎児水腫 / 慢性関節リウマチ |
研究概要 |
小児に好発する伝染性紅斑の原因ウイルスであるヒトパルボウイルスB19は、赤芽球系細胞へ感染し、再生不良性貧血のcrisisや非免疫性胎児水腫の原因になっていることも知られている。さらに、B19ウイルス感染と慢性関節リウマチ(RA)との因果関係も疑われている。我々はB19ウイルスの非構造蛋白質NS1が、B19ウイルス感染によるこれら疾患の発症機構において重要な役割を演じている可能性を想定し、NS1遺伝子導入マウスを作成した。すでに報告したように、赤芽球系細胞で特異的にNS1を発現するマウスは、胎児水腫様病変を呈したが、RA様病変はみられなかった。リンパ球系細胞特異的プロモーターの制御下にNS1遺伝子を挿入したマウスでは、蛋白レベルでのNS1発現がみられず、また、何らの病変も確認されなかった。現在NS1高発現マウスの作成に努めている。他方、赤芽球系細胞株UT7をクロン化し、B19高感受性クロン(UT7/Epo-S1)を得た。UT7/Epo-S1細胞にB19ウイルスを感染させたところ、同細胞はG2期で細胞周期が停止した。細胞周期制御因子の解析から、B19ウイルス感染によって、サイクリンBが細胞質に蓄積することにより、G2期に呈しすることが示唆された。他方、JK1細胞においては、B19ウイルス感染後に、p53の増加と下流分子Baxの誘導が確認されると共に、細胞がアポトーシスに陥ることが示された。以上の結果から,B19ウイルス感染は、細胞周期の停止に加えて、アポトーシスを誘導することが分かった。また、そのメカニズムの一端が解明された。
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