研究課題/領域番号 |
12470068
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
清水 宣明 群馬大学, 医学部, 助手 (70261831)
|
研究分担者 |
原口 裕次 群馬大学, 医学部, 助手 (80272251)
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 教授 (00107434)
|
キーワード | HIV / コレセプター / 細胞指向性 / AIDS脳症 / GPCR / GPR1 |
研究概要 |
後天性免疫症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome,AIDS)の患者には高頻度に脳症(AIDS脳症、ADC)が見られるが、その発症機序は不明である。我々は、ADC発症との関連が疑われるHIV-1として、血管脳関門を構成する脳微小血管周細と推定されるBT細胞やCD4導入グリオーマ細胞U87/CD4などの脳由来細胞に感染するGUN-1v株を分離した。更に、7回膜貫通G蛋白質結合レセプター(GPCR)であるGPR1が、この脳由来細胞指向性を決めるコレセプターであることを見いだした。本研究では、GPR1によるHIV-1感染の分子機構を明らかにするために、GPR1の機能領域を同定することを目的とする。本年度においては、以下の結果を得た。 1.作製実験 (a)HIV-1はコレセプターの細胞外領域と相互作用する。GPR1の細胞外領域(アミノ末端、第1、第2、および第3細胞外領域)を、マクロファージ指向性を決定するコレセプターであるCCR5の対応する領域と置換したキメラを作製して、NP-2/CD4細胞に導入した。 (b)HIV-1コレセプターのアミノ末端細胞外領域には、チロシン残基がよく保存されている。GPR1はこの領域に4つのチロシン残基を持つため、それらをアラニン残基に置換した変異体を作製して、CD4発現ヒトグリオーマ細胞株(NP-2/CD4)に導入した。 (c)GPR1のアミノ末端領域の機能を探るために、いくつかの欠失変異体を作製しNP-2/CD4細胞に導入した。 2.感染実験 (a)作製したGPR1とCCR5のキメラについて、HIV-1による使用性を評価した。細胞外領域をCCR5の対応領域と置換したGPR1キメラを導入したNP-2/CD4細胞は、すべてHIV-1に非感受性だった。従って、GPR1の細胞外領域域は、コレセプター機能に重要であることが示唆された。 (b)アミノ末端から1、2、および3番目のチロシン残基をアラニンに置換してもGPR1のコレセプター活性は維持されたが、4番目のチロシン残基をアラニンに置換すると活性がほとんど消失した。このことにより、4番目のチロシン残基がGPR1のコレセプター活性に特に重要であることが示唆された。 (c)GPR1のアミノ末端領域をチロシン残基の直前まで欠失させてもコレセプター活性が維持されたことから、チロシン残基を含む領域がGPR1のコレセプター活性に特に重要であることが示唆された。
|