研究概要 |
ウイルスよる細胞融合誘導はウイルス側因子と宿主細胞側因子との相互作用によって制御されている。ウイルス侵入機構、膜融合及び多核巨細胞形成に関与するウイルス側因子と宿主細胞側因子を解析する。細胞融合に関与する因子としては、ウイルス誘導細胞融合の制御因子、Fusion Regulatory Factor-1(FRP-1)が重要である事を証明した。 FRP-1のlight chainのN末端半分と高いホモロジーを有する蛋白(N-light chain): FRP-1のlight chainのN末端側と高いホモロジーを有する蛋白を3つ同定し、その発現様式を解析した。その3つの転写産物は染色体16P12と一致した。それは180及び190のアミノ酸をコードし、hLAT1のN末端側と92-94%のホモロジーを示した。しかしながら、3'non-coding領域はhLAT1と有為なホモロジーを示さなかった。それらの遺伝子は染色体16p11.2-p13.1に複数コピーとしてマッピングされた。それらの遺伝子の末梢単核球における転写はレクチン刺激によって亢進した。FRP-1媒介性細胞融合制御におけるCD147分子の関与:ウイルス感染細胞における細胞融合はFRP-1/CD98系によって制御を受けている。この反応には種々の分子が関与している。本年の研究により、新たにCD147分子がFRP-1媒介性細胞融合の調節因子の一つであることが明らかになった。a.血液単球,U937細胞やJurkat細胞にCD147分子は発現していた。b.使用した3つの抗CD147抗体(Ab-1,-2,-3)はU937細胞におけるFRP-1媒介性細胞凝集には影響を与えなかった。c.抗CD147抗体(Ab-1)はU937細胞におけるFRP-1媒介性細胞融合を阻害し、Ab-2は亢進した。d.Ab-1はその抑制効果を示すために、FRP-1刺激後の比較的早い時期に、作用させる必要があった。一方、Ab-2は、FRP-1刺激8時欄後に作用させても、刺激効果を発揮した。e.Ab-2とAb-3はJ2ME細胞におけるFRP-1非依存性細胞凝集と細胞融合を阻害する。f.Ab-2はJ2ME細胞におけるFRP-1媒介性細胞融合を阻害し、抑制性抗FRP-1抗体の作用を阻害した。g.Ab-2は血液単球におけるFRP-1媒介性細胞融合を阻害した。
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