研究概要 |
感染防御機構において、病原体の認識が重要であることはいうまでもない。抗原特異的な認識は抗体やT細胞レセプターを持つリンパ球が担うと考えられていた。しかしながら病原体成分に特異的な認識分子としてToll-like receptorが発見され、自然免疫における病原体排除ばかりでなく、獲得免疫応答の誘導にも重要であることが明らかになってきた。病原体成分の中で最も強く免疫機構を活性化するものがエンドトキシン(LPS, Lipopolysaccharide)である。エンドトキシンショックをはじめとして多くの疾患に関わることが報告されており、多くの研究者がその認識機構を研究し、認識分子を検索してきた。LPSの認識機構も長い間なぞであったが、TLRとして最初にクローニングされたTLR4がその認識分子であることが明らかにされた。我々はTLR4の細胞外ドメインに会合する分子MD-2をクローニングした。本研究期間においてはMD-2分子がTLR4によるエンドトキシン認識に重要かどうかについて、MD-2欠損マウスを作成することで検討した。その結果、MD-2欠損マウスはTLR4欠損マウスと同様にLPSにまったく応答しないことが明らかとなり、長い間検索されてきたエンドトキシン認識分子はTLR4-MD-2であることが結論された。またTLR4-MD-2に構造的に類似したRadioprotective105(RP105)-MD-1についてもそれぞれの遺伝子欠損マウスを作成した。これらのマウスはB細胞においてのみ、LPS応答が低下していた。したがってB細胞のLPS応答にはTLR4-MD-2ばかりでなく、RP105-MD-1も関わることが明らかになった。
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