研究概要 |
1)ヒト大脳の部位別ルビジウム(Rb)濃度と年齢相関 特に疾病をもたない事故死14例(年齢4〜54歳)の脳を前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉および小脳に分けてRb濃度を測定した結果、各部位の平均値±SEは11.02±1.01、11.30±1.07、11.61±1.11、10.72±0.86および9.67±0.73μg/g dry weightであった。部位による差は認められず、各部位で年齢と有意な負相関が認められた(r=-0.89〜-0.68) 2)ラットの脳中Rb濃度 雄性Wisterラットの3および6週齢、3、6および12ケ月齢の脳の8部位(小脳、延髄と橋、視床下部、中脳と視床、線条体、海馬、大脳皮質および嗅球)のRbを測定した。その濃度、年齢との関係はヒト場合と類似していた。 3)マウスの脳中Rb濃度 老化促進マウス(SAM)の正常老化系R1と脳萎縮、記憶障害発症系P10の3,6,9,12ケ月齢を使って、ラットと同じ脳中8部位のRb濃度を測定した。その濃度はヒト脳、ラット脳と同程度であった。3ケ月齢で視床下部を除く7部位でRb濃度は有意にP10がR1より低値であった。月齢との相関は明らかでなかった。 4)Na・K-ATPase活性と低Rb・K食の影響 雄性ICRマウス(5週齢)を(1)低Rb、(2)低Rb・K、(3)通常Rb・低K、(4)通常飼料、で4週間飼育した。これらマウスの血液、肝臓および腎臓中のATPase活性を測定した。全ATPase(Ca-ATPase、Mg-ATPaseおよびNa・K-ATPaseの和)、EGTAを添加しCa-ATPase以外のATPase活性、ouabainを添加しMg-ATPase活性を測定し、計算によりNa・K-ATPase活性を求めた。ATPase活性は腎>肝>血液の順であった。与えた食餌の種類による活性の差は見出されなかった。
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