研究分担者 |
北村 明彦 大阪府立成人病センター, 集検工部, 医長
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80227214)
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (50223053)
万波 俊文 国立循環器病センター, 集団検診部, 医師
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研究概要 |
我が国で循環器疾患の疫学研究を長期にわたり実施している4地域集団において、これまでに統一した方法で頚動脈超音波検査を実施した4,900人の中高年男女を対象に、2〜5年後の頚動脈超音波検査を再度施行することにより、この間の頚動脈硬化の進展度を評価する。そして、動脈硬化の進展を左右する主な環境要因、遺伝的要因の同定を行う。さらに循環器疾患発症を予知する上で頚動脈硬化の有用性について、コホート分析を行う。 対象集団は東北農村(人口7千人)、四国農村(人口1.6万人)、関東農村(人口1.7万人)の60〜74歳男女住民と大阪府吹田市(人口33万人)の40〜74歳男女住民である。1996年〜1999年にかけて、頚動脈超音波検査を東北農村で400人(60〜74歳)、四国農村で600人(60〜74歳)、関東農村で600人(60〜74歳)、大阪府吹田市で3,300人(40〜59歳:1,700人、60〜74歳:1,600人)に実施している。この4,900人のうち、最初の約1,000人について2〜5年後の時点で再測定を行った。 現在までに頚動脈硬化進展と関連の強い因子として、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病が確かめられている。特に、高血圧と高コレステロール血症の持続期間が長いことが関与していた。また、男子においては血漿フィブリノーゲンの高値が頚動脈硬化の有意な関連要因として示された。しかし血漿ホモシステインの高値と頚動脈硬化との関連は弱かった。さらに遺伝子多型に関して、アンジオテンシン変換酵素の多型と頚動脈硬化との関連は認められなかった。 上記の4,900人の追跡調査を継続し、このコホート集団より発症する脳卒中、虚血性心疾患(心筋梗塞、労作性狭心症、1時間以内の急性心臓死)の同定作業を進めている。
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