生活習慣要因と大腸前がん病変に関する疫学的研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470098
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 古野 純典 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70128015)
• キーワード: 大腸がん / 大腸腺腫 / 喫煙 / 飲酒 / 食物 / 遺伝子 / 疫学

研究概要

本研究は大腸前がん病変である大腸腺腫と関連する生活習慣要因を明らかにするための断面的疫学研究である。本研究の特色は、ほぼ全員が全大腸内視鏡検査を受ける職域集団を研究対象としていることである。自衛隊福岡病院および熊本病院において定年退職前健康診断を受診した男性自衛官者を対象にして、喫煙、飲酒、運動および食物摂取などの生活習慣要因に関する調査をおこない、大腸内視鏡検査をはじめとする医学的検査結果を系統的に収集整理した。また、ほとんどの調査対象者から採血し、血漿と白血球成分を凍結保存している。平成13年4月から平成14年1月までの期間に785名の調査を終えた。平成12年度からの累積の調査例数は合計で1555例に達した。食物・栄養要因に注目して解析を進めている。
一方、以前から収集保管している血漿を用いて、大腸腺腫例157例と全大腸内視鏡検査で異常なしの対照174例についてインスリン様成長因子(IGF)と大腸腺腫との関連性を検討した。IGF-I及びIGF結合蛋白(IGFBP3)のいずれに関しても、大腸腺腫との明らかな関連はみられなかったが、多重腺腫や悪性度の高い組織型を示すいわゆる高危険度腺腫ではIGFBP3高値の者でリスク高まりの傾向が見られた(補正オッズ比1.6、95%信頼区間0.6-4.6)。IGFの大腸発がんにおける影響は日本人と欧米人では異なるのではないかと推測される結果である。

研究成果

• [文献書誌] Honjo S, et al.: "Coffee consumption and serum aminotransferases in middle-aged Japanese men"Journal of Clinical Epidemiology. 54(8). 823-829 (2001)
• [文献書誌] Nagano J, et al.: "A prospective study of green tea and cancer incidence, Hiroshima and Nagasaki (Japan)"Cancer Causes and Control. 12(6). 501-508 (2001)
• [文献書誌] Nishii T, et al.: "Glucose intolerance, plasma insulin levels, and colon adenomas in Japanese men"Japanese Journal of Cancer Research. 92(8). 836-840 (2001)
• [文献書誌] Kono S, et al.: "Cigarette smoking, alcohol use and gallstone risk in Japanese men"Digestion. (発表予定). (2002)
• [文献書誌] Tokunaga S, et al.: "Green tea consumption and serum lipids and lipoproteins in population of healthy workers in Japan"Annals of Epidemiology. (発表予定). (2002)