研究課題/領域番号 |
12470102
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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研究分担者 |
村田 勝敬 帝京大学, 医学部, 助教授 (80157776)
山岡 和枝 帝京大学, 法学部, 助教授 (50091038)
小林 廉毅 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178341)
橋本 英樹 帝京大学, 医学部, 講師 (50317682)
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キーワード | 健康診断 / Evidence Based Medicine / 保健医療活動の評価 / 感度 / 特異度 / 肝機能検査 / 尿糖検査 / スクリーニング |
研究概要 |
わが国の予防医学は健康診断を偏重し、その内容は拡大の一途であるが、いまだその有効性について系統的な評価が行われていない。そこで本研究では予防活動におけるEvidence Based Medicineの実践を目指し、地域や職域で行われている一般健診項目を取り上げ、その有効性を文献的・実証的に検討した。その結果、健康診断全体についての無作為割付比較試験(RCT)による長期追跡結果では疾病休業や死亡率に差がないとする報告がほとんどであった。また事業所や地域で行われている一般健診項目のすべての検査項目について、米国予防医療研究班報告、同カナダ報告、およびCochrane Library等を用いて、文献的に有効性の評価を行った。その結果、わが国の地域・職域で広く行われている血液検査等の項目の中に、欧米では「定期的な実施を勧告する根拠がない」とするものがかなりあった。本研究ではこれらの結果をまとめ発表した。 上の文献的検討のほとんどで用いられていた欧米と比べ、わが国の疾病構造や社会・医療の特性は必ずしも同一ではない。そこでわが国で実証的検討を行うため、健診評価の枠組みを明らかにした。すなわち健診項目が有用となるためには有病率、検査の有効性(感度・特異度)、検査の侵襲とコスト、精密検査の有効性、事後措置の有無とその有用性等である。この枠組みを基に主要な項目について実証的にその有効性について評価を開始した。まず健康診断の血液検査の中心ともいえる肝機能検査について、B型とC型の肝炎ウイルス感染や過栄養性脂肪肝、多飲酒者の検出感度がかなり低いことを明らかにした。また、尿糖検査は適切に行われれば対象疾患の有病率、感度、検査のコスト等の面でかなり有用な検査と思われるが、現実の健診の枠組みの中では不適切な条件で実施されることが殆どで、その有用性が損なわれていることが示された。現在、その他の検査について、その評価研究を準備中である。
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