研究課題/領域番号 |
12470102
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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研究分担者 |
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
山岡 和枝 帝京大学, 法学部, 助教授 (50091038)
小林 廉毅 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178341)
橋本 英樹 帝京大学, 医学部, 講師 (50317682)
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キーワード | 健康診断 / Evidence Based Medicine / 保健医療活動の評価 / 感度 / 費用効果分析 / 肝機能検査 / 尿検査 / スクリーニング |
研究概要 |
わが国の予防医学は健康診断を偏重しているが、その有効性について系統的な評価が行われていない。そこで本研究では予防活動におけるEvidence Based Medicineの実践を目指し、地域や職域で行われている一般健診項目を取り上げ、その有効性を文献的・実証的に検討してきた。本年度はまず、尿蛋白検査の有効性について検討を行い、検査陽性中の介入すべき対象比率(PVP)が小さくそれを絞り込む方法や、そもそも確立された介入方法がないことに問題があることを明らかにした。尿糖検査は適切に行われれば有用な検査であるが、現実の健診の枠組みの中では不適切な条件で実施されていることを昨年示した。今年度はさらに、糖尿病への介入が有効とはいえ、実は介入しても年間患者約200人にひとりしか合併症を防げないことをUKPDSの結果から指摘した。また40歳以上の12500人の職域定期健診受診者の聴力検査結果を簡便な聴力についての問診結果と比較し、その有効性について考察した。肝機能検査に関連しては、脂肪肝に対する肝機能検査と、より簡便な肥満度との感度を職域集団の検査結果で比較し、単純な肥満度を用いればALTと同等の感度が得られ、AST等の感度は遙かに低いことを示した。一方費用効果分析の手法を用い、C型肝炎に対する現行の毎年の肝機能検査と、様々な間隔でのHCV抗原測定による1QALY延長の効果を得るために要する費用を種々の条件下で比較し、3年に1回以上の間隔でHCV抗原測定を行う方が、現行の肝機能検査より優れていることを示した。さらに、職域健康管理でメンタルヘルスの重要性が認識されている中、身体的自覚症状による問診がうつ病のスクリーニングに使える可能性を検討した。今後、これまでの検討結果をまとめ健診全体を評価して発表すると共に、EBMのために用いることのできる簡便な計算ソフトを発表する予定である。
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