8時間夜勤と12時間夜勤を行っている中規模病院の病棟看護職員37名を対象として、「休日-日勤-夜勤-休日-日勤」の1勤務サイクルにおいて、夜勤において生じた疲労状態がその後の勤務明け日や休日などでの中での睡眠を含め対処により回復があるのか否かを検討した。この調査では、睡眠の質の悪化や睡眠時間の短縮がある場合には、睡眠時の尿中17-KS-Sの低下と、睡眠時と午前中の尿中17-KS-S/17-OHCSも低下するという報告者らの既知見を用いた。 得られた結果は、夜勤途中の休憩時間の確保、とりわけ仮眠の挿入が慢性的な疲労を生じさせないためには必要となると判断された。8時間3交代制の場合には、日勤に引き続く深夜勤の心身影響は大きかった。連続深夜勤では、長時間の昼間睡眠をとることで夜勤2日目に備えていたが、2日目の夜勤における心身への影響も大きかった。また、長時間夜勤制を採用する場合には、十分な仮眠時間の挿入が必要となることも判明した。12時間夜勤の場合には、夜勤中の仮眠時間が60分以上となるか、「夜勤明け日から休日」にかけての睡眠時間率が42、43%程度となると1勤務サイクル内での疲労を残さずに次の勤務に入ることが可能となると推定された。逆に、夜勤中に仮眠をとらずに勤務し、その後の「夜勤明け日から休日」の経過で睡眠時間率を40〜42%程度にしか割くことができない場合には、疲労回復がされないまま次の勤務サイクルに入ることが推定された。未就学児をもった看護職員で夜勤中に仮眠がない状態では、その後、2連続休日をとった場合でも睡眠時間率が休日1日目で47%と2日目で35%程度では睡眠不足となって現れていた。未就学児をもった看護職員で夜勤明け日に引き続き連続休日が必要となり、家庭での睡眠時間の確保にも留意が必要という結果であった。
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