研究課題/領域番号 |
12470113
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 一彦 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80191394)
|
研究分担者 |
土肥 眞 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60222155)
三崎 義堅 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60219615)
|
キーワード | 経口トレランス / T細胞 / IL-10 / パイエル板 / 樹状細胞 |
研究概要 |
経口トレランスにおいては投与する抗原量の違いによるそのメカニズムに違いがあるといわれ、少量の抗原量では、免疫寛容が誘導されたマウスの脾細胞をadoptivetransferすることによりsuppressionが移入できることがいくつかの系において示されているが、誘導に使う系によってどの細胞が重要なのかは一定した見解は得られていない。そこで、経口トレランスが誘導された未免疫Balb/cマウスの腸管、リンパ節、脾臓などからT細胞、non-T細胞を分離し、それとOVAにより免疫されたBalb/cマウスの脾細胞との共培養を行い増殖反応の抑制を調べたところ、T細胞分画のみならずnon一T細胞分画によってもトレランスの移入がみられた。これは抗原提示細胞が腸管において抗原を取り込むことで、トレランス誘導能を獲得したということが示唆される。そのメカニズムの一つとして、腸管粘膜の特殊に分化したリンパ組織において、樹状細胞などの特化された抗原提示細胞が調節性T細胞への分化を誘導している可能性がある。そこでOVAを経口投与したマウスの小腸パイエル板から樹状細胞を分離し、OVA特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウスから分離したナイーブなT細胞と抗原とともに共培養し、分化したT細胞のIL-10産生能を調べた。OVA非投与群と比べて、経口投与群からのパイエル板樹状細胞はよりIL-10産生T細胞の誘導を促した。 一方脾臓の樹状細胞においては差はみられず、これによりパイエル板樹状細胞が経口トレランス誘導に大きな役割を果たしていることが示唆された。現在さらにパイエル板樹状細胞の亜分画によるT細胞分化能の違いと、それを利用した樹状細胞の移入による関節炎モデルマウス治療実験をすすめている。
|