原発性胆汁性肝硬変(以下PBC)は臓器特異的な自己免疫性疾患と推察されているが、胆管細胞における標的抗原が不明である。本研究では、最近開発されたレーザーマイクロダイセクションにより、顕微鏡下に特定の細胞を同定しその細胞のみを集め、さらにサブトラクションPolymerase cha in reaction(PCR)やmicroarrayなどの分子生物学的手法を用いて正常な胆管細胞における遺伝子発現と比較することにより、病因遺伝子を探すことを試みる。 本年度は、1)生検肝組織あるいは手術で得られた正常およびPBCの胆管上皮細胞を純粋に採取すること、2)その細胞群からmRNAを回収し、正常およびPBC胆管上皮細胞に発現されている遺伝子を増幅する、ことを試みた。 その結果、1)正常肝および先天性胆道閉鎖症の肝組織から、凍結切片を作成し、ヘマトキシリンエオジンで染色後、レーザーマイクロダイセクションを行った。この方法により、胆管細胞のみを採取することが可能であった。2)採取した胆管細胞からmRNAを抽出し、cDNAに変換後、胆管細胞に特異的に発現されているサイトケラチン19に対するプライマーを用いてPCRにより増幅した。その結果、PCR産物が得られ、少数の胆管細胞からのmRNAの抽出、解析が可能であることが示された。現在、cDNA libraryの作成、DNA microarrayによる解析を進めている。
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