平成12-13年度の検討から、laser capture microdissection (LCM)により胆管上皮細胞(BDE)を選択的に採取し、採取したBDEからメッセージの発現を検討することが可能であることが明らかとなった。さらに抽出したRNAをT7 RNA polymeraseによる線形増幅を行うことで、DNA Microarrayによる検討ができるまで増幅可能となった。 この方法の基礎実験として、10^3個と10^5個の肝細胞の遺伝子発現を比較すると、その相関は0.975と非常に高く、10^3個の細胞からのメッセージの解析が評価に値するものと考えられた。さらに増幅前後の遺伝子発現の検討では、その相関は0.739と良好であった。 正常、C型慢性肝炎及び原発性胆汁性肝硬変(PBC)の症例より胆管細胞10^3個を収集し、total RNAを抽出後、T7 RNAポリメラーゼを用いて増幅し、DNAマイクロアレイを用いて胆管細胞で発現されている遺伝子の解析を検討した。PBCのBDEでは正常肝のBDEに比し、多数の遺伝子が発現亢進していたが、この中の大多数のものはC型慢性肝炎のBDEにおいても発現が亢進しており、炎症に伴い発現亢進していると考えられた。しかし、一部の遺伝子はPBCのBDEのみにおいて発現が亢進しており、PBCの発症原因あるいは胆汁うっ滞に関わる遺伝子の可能性が示唆された。現在、PBCにおいて発現亢進している遺伝子について解析中である。
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