研究概要 |
CCK-A受容体(R)遺伝子ノックアウトマウス(-/-)を作成し、機能を野生型と比較した。CCK-AR(-/-)の膵外分泌は、CCKには全く反応しないが、neuromedin C, acetylcholineに対しては、野生型と同様の反応をしめした。マウスでは、セクレチンが重炭酸、アミラーゼ分泌いずれも刺激しないという結果をえた。一方胆嚢収縮は、野生型、CCK-AR(-/-)とも、CCK以外の刺激には反応せず、胆嚢収縮機能は、殆どCCKに依存していると解釈された。耐糖能は、両genotype間に差はみとめなかった。 齧歯類の膵外分泌は、腸管内のトリプシン活性によって制御されている。トリプシンインヒビターの経口投与は、腸管内トリプシン活性を低下させ、CCKの分泌を促進し、膵肥大をおこす。野生型マウスにトリプシンインヒビター混餌食を投与すると、2週間めに膵肥大がみられた。しかしCCK-AR(-/-)マウスでは変化がなかった。ラットでは、5日以内に膵肥大が認められることから、マウスの方が、効果発現しにくいと解釈された。 ヒト胆石症の摘出胆嚢では、CCK-A受容体mRNAが、正常(非胆石)胆嚢の約3分の1に低下していることをみとめた。この低下の機序は遺伝子のメチル化などを含めた転写調節の変化が考えられた。また、ヒトCCK-A受容体遺伝子プロモーター領域を決定することができ、2箇所の塩基置換(-81A to G,-128G to T)のあることを発見した。この変異は遺伝子発現を調節するプロモーター領域内にあり、6種類のpolymorphismの存在を確認した。ホモタイプ(GG/TT)は肥満と関わっていた。 CCK-BR(-/-)では、摂食量、代謝量が増加しており、エネルギー代謝回転が亢進していた。胃排出速度もBR(-/-),AR(-/-)BR(-/-)doubleが、BR(+/+)よりも亢進しており、BRの存否は胃排出速度に関わりを持つことを確認した。
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