研究課題/領域番号 |
12470135
|
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
石崎 武志 福井医科大学, 医学部, 教授 (80151364)
|
研究分担者 |
飴嶋 慎吾 福井医科大学, 医学部, 助手 (60262614)
松川 茂 福井医科大学, 医学部, 助教授 (00092809)
|
キーワード | ロイコトキシン / リノール酸 / ディオール / cyclin dependent kinase / セルサイクル |
研究概要 |
リノール酸を加水分解し、ロイコトキシン(Lx)、isoロイコトキシン(Lx′)、ロイコトキシンデイオール(Lx-diol)、isoロイコトキシンデイオール(Lx′-diol)をHPLCを用いて分離精製し実験に供した。 1)各種リノール酸代謝物によるcell viability効果 肺動脈血管内皮細胞(HPAEC)に上記の物質を加えるとリノール酸投与群に最もcell viabilityの低下が見られ、次いで、Lx、Lx′投与群に軽度のcell viability低下を認めた。Lx-diolおよびLx′-diol投与群には同様の変化をみなかった。HPAECではdiolの細胞障害作用は無いと思われた。DCFH-DAを用いて細胞内peroxidesを検出すると、リノール酸投与群にperoxidesの強い検出が生じた。他群ではperoxidesの検出を認めなかった。リノール酸によるHPAECのcell viability低下はperoxidesの関与があると思われる結果であった。72時間それぞれの群を培養すると、Lx投与群に最も細胞増殖抑制効果を認めた。 2)各種リノール酸代謝物による細胞DNA合成抑制効果 そこで、HPAECを用いて^3Hチミジンの取り込みを各種リノール酸代謝物存在下で検討した。やはり、Lx投与群で最も^3Hチミジンの取り込みが抑制された。次いで、Lx′>Lx-diol>Lx′-diolの順であった。Propidium iodidcによるFACscan分析を行うとLx、Lx′投与群でcell cycle G1期の細胞が増加しS期の細胞が減少した。LxとLx′は細胞周期に影響を与えると考えられた。 3)各種リノール酸代謝物によるmRNAの検出 cell cycleを調整しているcyclin dependent kinase(CDK)のinhibitorのmRNAの発現をAtlas human 1.2 arrayを用いて検討した。LxはINKfamilyの、p19とp16、CIP/KIPfamilyのp27mRNA発現を増強し、p19、p21、p27の蛋白質量も増加させた。一方、Lx-diolとLx′-diolはp21とp27の蛋白質量を増加させた。LxはCDKinhibitorを介してHPAECの細胞周期を停止させることが明かとなった。以上の諸成績から各種リノール酸代謝物はその効果に強弱はあるものの炎症の場で細胞障害の修復過程を引き延ばしている可能性が示唆された。
|