研究概要 |
リノール酸を加水分解し、HPLCを用いてロイコトキシン(Lx)代謝物を分離精製後実験に供した。 1)各種リノール酸代謝物によるcell viability効果 肺動脈血管内皮細胞(HPEAC)にリノール酸代謝物を加えるとリノール酸>Lx>isoLxの順にcell viabilityは低下したが、Lx-diol, isoLx-diolにはその効果を認めなかった。 2)各種リノール酸代謝物による細胞DNA合成抑制効果 HPEACにリノール酸代謝物を加えると^3Hチミジン取り込み能抑制効果はLx>isoLx>Lx-diol>isoLx-diolの順に低下した。Propidium iodideによるFACscan分析でLxおよびisoLxがcell cycleをG1期で止める事も判明した。 3)各種リノール酸代謝物によるcyclin dependent kinase(CDK)inhibitorの活性化 Lx投与下Atlas human 1.2 arrayを用いてCDK inhibitorの活性化の有無を検討すると、INKfamilyのp19、p16およびCIP/KIPfamilyのp27のmRNA発現は増強した。さらに、p19、p21、p27の蛋白量も増加した。一方、Lx-diol,やisoLxはp21、p27の蛋白量を増加させた。Antisensep16INK4aS-oligoを前もって投与するとLxによるp16mRNAの発現量と蛋白量の増加は有意に抑制された。 以上、LxはHPEACの増殖抑制作用と細胞老化にも抑制的に働いていると考えられる。
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