研究課題/領域番号 |
12470138
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山口 佳寿博 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (30129712)
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研究分担者 |
伊藤 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286451)
小山田 吉孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00233627)
仲村 秀俊 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00217879)
峰松 直人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20296578)
舘野 博喜 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50286473)
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キーワード | 肺気腫 / 喫煙 / 肺機能 / HRCT / 経年変化 |
研究概要 |
【目的・方法】1992年より本研究の目的に賛同し本研究に参加することを同意した40歳以上の非喫煙健常成人(152名)ならびに観察開始時の生涯喫煙量が400以上で年齢が40歳以上の喫煙歴を有する256名に対して毎年一回精密肺機能ならびに高分解能CT(HRCT)検査を施行した。喫煙歴を有する対象を現喫煙群(経過観察中喫煙を持続した群)と禁煙群(エントリー前少なくとも2年前に喫煙を中止、その後経過観察中禁煙を遵守した群)に分類した。対象者のデーターを平成12年度に集積・解析した。同時にこれらの対象者から血液10mlを採取し血球成分からDNAを分離することを開始した。肺機能として、肺活量、一秒量(率)、V_<50>、肺気量分画(TLC、FRC、RV)、一酸化炭素肺拡散能力(DLco)、血液ガス諸値を測定し、それらの経年変化量を5年間の経過観察データーを線形最小二乗法によって処理することによって算出した。HRCT画像を上肺、中肺、下肺において撮影し各スライスの平均肺野CT密度(MLD)ならびに-912HU以下の低密度CT値を有する領域の相対面積(%LAA)を算出し肺野気腫性病変の指標とした。【結果】肺機能では3群において一秒量のみが有意な経年変化を示した。一秒量の経年変化量は非喫煙健常成人群で-20ml/年、現喫煙群で-60ml/年、禁煙群で-34ml/年であり、現喫煙者で最も大きく禁煙群で一秒量の低下は明らかに抑制されていた。HRCT画像上のMLDは現喫煙群でより負の方向に推移したが禁煙群、非喫煙健常成人群では有意な変化を認めなかった。一方、%LAAは現喫煙群と禁煙群で年々増加する傾向を示したが非喫煙健常成人群では有意な経年変化を認めなかった。【解釈】以上の結果より、禁煙は一秒量を中心とした肺機能の経年低下を抑制するがこの原因は気腫性病変の改善ではなく末梢気道病変の改善に起因するものと考えられた。長年の喫煙習慣の肺野気腫性病変に対する影響は数年の禁煙ではもとに戻らないことが判明した。【今後の展望】平成13年度よりは以上の対象者の血球DNAを用いてcathepsin Sを中心とした蛋白分解酵素の遺伝子変異解析を施行し気腫性病変の程度との相関を解析する予定である。
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