• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

心不全の悪化過程におけるエンドセリンの役割に関する分子生物学的・生理薬理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12470147
研究機関筑波大学

研究代表者

宮内 卓  筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60222329)

研究分担者 櫻井 武  筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (60251055)
後藤 勝年  筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
キーワードエンドセリン / 心不全 / 分子生物学 / エネルギー代謝 / 循環薬理学 / 病態生理学
研究概要

心臓においてエンドセリン(ET)-1は、心筋肥大促進作用や細胞傷害作用を有し、これらはGタンパクを介したイノシトールリン酸代謝の促進、MAPKの活性化、Ca^<2+>流入の増大などの細胞内情報伝達系を介する。不全心筋ではET-1の産生が増大し、ET受容体拮抗薬は心不全動物の死亡率を著明に改善する。不全心筋にて各種の心筋遺伝子の発現が変化しており、これらが心不全の進展に関与していると考えられる。心不全ラットにて左室におけるCa^<2+>調節蛋白(リアノジンレセプターと心筋小胞体Ca^<2+>-ATPase)の遺伝子の発現は減少していたが、ET拮抗薬はそれらを改善した。
ゆえに、不全心筋にて細胞内Ca^<2+>調節が異常になるが、ET拮抗薬はこの異常を分子レベルから改善し心不全を改善していることが示唆される。また、不全心筋の分子マーカーであるANPおよびβミオシン重鎖の各遺伝子の発現変化は、ET拮抗薬により改善した。不全心筋におけるET-1遺伝子の著明な発現増大には、いくつかのメカニズムが関与する。心筋において、転写因子であるGATA-4/5/6が発現しており、これらの関与が考えられる。また、不全心筋では脂肪酸代謝障害によりエネルギー不足状態にあり、その代償として解糖系酵素群の遺伝子発現を増大させる転写因子であるhypoxia-inducible factor(HIF)-1αが誘導される。ET-1遺伝子5上流にはHIF-1αの認識配列が存在する。種々の実験により、不全心筋におけるエネルギー産生障害が、HIF-1αの誘導を介してET-1発現を転写レベルで亢進させて心不全を悪化させる分子メカニズムが存在することが判明した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Kahinuma Y., Miyauchi T., et al.: "Novel molecular mechanism of increased myocardial endothelin-1 exression in the failing heart involving the transcriptional factor hypoxia-inducible factor-2α inducel for myocardial energy metabolism"Circulation. vol103. 2387-2394 (2001)

  • [文献書誌] Yuki K., Miyauchi T., et al.: "Endothelin-1 production is enhanced by a rotenon,a mitochondrial complex I inhibitor,in cultured rat cardiomyocytes"Journal of Cardiovascular Pharmacology. vol38. 850-858 (2001)

  • [文献書誌] Suzuki T., Miyauchi T.: "A novel pharmacological action of ET-1 to prereut the cyto toxicity of boxorubicin in cardiomyocytes"American Journal of Physiology. vol280. R1399-R1406 (2001)

  • [文献書誌] Kumagai Y., Hayashi T., Miyauchi T., et al.: "Phenanthra quivovl inhibits eNOS activity and suppresses vasorelaxation"American Journal of Physiology. vol281. R25-R30 (2001)

  • [文献書誌] Maeda S., Miyauchi T., et al.: "Effects of exercise training of 8 weeks and detraining on plasma levels of endothelium- derirel factors,endotheliu-1 and nitric oxide in healthy young humans"Life Sciences. vol69. 1005-1016 (2001)

  • [文献書誌] Iemitsu M., Miyauchi T., et al.: "Physiological and pathological cardiac hypertrophy induce different molecular phenotypes in the rat"American Journal of Physiology. vol281. R2029-R2036 (2001)

  • [文献書誌] 前田清司, 酒井俊, 宮内卓: "心臓における生命現象の分子生物学(小室一成 編)"メディカルレビュー社. 242 (2001)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi