研究課題/領域番号 |
12470148
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣井 透雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30311624)
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研究分担者 |
林 同文 東京大学, 大学院・医学系研究科, 寄付講座教員 (80313104)
小室 一成 千葉大学, 医学部, 助教授 (30260483)
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キーワード | Csx / Tbx5 / ANP / 協調作用 / 心奇形 / Holt-Oram症候群 |
研究概要 |
Csx/Nkx2.5をbaitとして酵母two-hybrid systemを用いて、ヒト心臓cDNAライブラリーをスクリーニングした。Csxと会合するいくつかのクローンを得たが、ひとつは、KRABドメインと11個のZinc fingerをもつ転写抑制因子であり、Csxによる心房性利尿ペプチド(ANP)の活性化を容量依存的に抑制した。これはZim1として他のグループよりgenomic inprintingを受ける分子として報告され、現在解析を進めている。さらに他のひとつはT-box型の転写因子Tbx5であった。ヒトにおいてTbx5のへテロの異常により心臓と上肢に異常をきたすHolt-Oram症候群(HOS)を起こすことが報告されている。免疫沈降、プルダウンアッセイの会合実験により、CsxのホメオドメインとTbx5のN側領域、T-boxのN側、中央部が会合することが判明した。Tbx5のターゲット遺伝子は未知であったが、我々はTbx5がANPを活性化することを世界で初めて発見し、N側領域とT-boxが必要であることを明らかにした。さらにCsxとTbx5が協調的にANPを活性化することも証明し、このことがCsxの遺伝子異常による心奇形とHOSの心奇形の類似性を説明しうることを示した。HOSのmisssense変異の中で、G80Rは上肢の異常は軽く心臓に大きな異常があり、R237Qは心臓の異常は軽く上肢に大きな異常をきたす。R237Qは野生型のTbx5と同様にANPを活性化するが、G80Rは活性化できなかった心筋分化モデルであるP19CL6に野生型Tbx5を発現すると心筋への分化が促進され、心臓特異的遺伝子の発現が亢進していたが、R237QではもとのP19CL6とかわらず、G80Rでは分化は完全に抑制され、遺伝子の発現は抑制された。これらのことが表現型の違いを説明しうることを示した。
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