研究課題/領域番号 |
12470150
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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研究分担者 |
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50178597)
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70262912)
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キーワード | 不整脈 / 心室頻拍 / スパイラルリエントリー / 光学マッピング / 活動電位 / 電位感受性色素 / 異方性興奮伝導 / ブロックライン |
研究概要 |
心筋スパイラルリエントリーのダイナミクスを、我々が独自に開発した高速度ビデオカメラを用いた心筋活動電位高分解能光学マッピングシステム(時間分解能 1.3ms, 空間分解能 0.1mm)により解析した。家兎摘出灌流心の心内膜側心室筋を液体窒素により凍結凝固させた心外膜下心筋二次元標本では、基本刺激活動電位に受攻期に単相性直流通電(20V)を加えると心室表面を旋回するスパイラル旋回興奮が誘発され、心電図では多形性心室頻拍(PVT)が認められた。このPVT中の心室スパイラル興奮波には、旋回中心部に線状の機能的ブロックラインが形成されるブロックライン型と、旋回のpivot pointがほぼ円形の軌跡を描くコア形成型が認められた。ブロックライン型スパイラルでは、両側で活動電位の位相が大きく異なる(不応期により形成される)ブロックライン部分と旋回のpivot point付近で興奮伝導が遅延することにより形成される(心筋線維を横切るように興奮が旋回する際に興奮前面の曲率が増大するために形成される)ブロックライン部分から成り立っていた。前者ブロックラインの方向は心筋繊維走行との間には一定の関係は認められなかったが、後者のブロックラインは常に心筋繊維走行と平行に形成された。Pivot point付近での活動電位波形は立ち上がりが緩やかであったが、興奮前面が方向転換した後では活動電位の立ち上がり速度が増大した。コア形成型スパイラルは心筋線維走向が一様でない心尖部付近に形成されることが多かった。以上の結果より、心筋二次元スパイラルのダイナミクスは、(1)興奮波面の曲率による効果(curvature effect)、(2)興奮波脱分極前面と再分極終末部との相互作用(wavefront-tail interaction)、(3)心筋構築の異方性(anisotropy)によって規定されることが明らかになった。
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