研究概要 |
Diazoxideの心筋保護作用機構を検討するために、これまで共焦点レーザー顕微鏡を用いて、Diazoxideがミトコンドリア(Mito)のpermeability transition pore (PTP)を介するCa^<2+>放出を引き起こし、Ca^<2+> sparkとCa^<2+> transientを増大させることを示した。今回は、ミトコンドリア内のCa^<2+>濃度([Ca^<2+>]_m)の測定法を確立して、Diazoxideの[Ca^<2+>]_mに対する作用を検討した。方法は、ラット心室筋細胞を蛍光色素のrhod-2/AM (20μM)を負荷してsaponin(0.05mg/ml)で細胞膜をpermeabilizeし、514nmで励起時の>560nmでの蛍光から[Ca^<2+>]_mを測定した。(1)Mitotracker greenと同時に染色すると、permeabilizeした細胞ではrhod-2とMitotracker greenはoverlapした。(2)灌流液の濃度を177mM、300mM、600mMと変化させると、[Ca^<2+>]_mは変化したが、Ruthenium red (Ca^<2+> uniporterの阻害薬)またはFCCP(脱共役剤)を前投与することにより[Ca^<2+>]_mは上昇しなかった。(3)Diazoxide (1, 10, 50μM)は、濃度依存性に[Ca^<2+>]_mを減少させた。以上より、Rhod-2とsaponinを用いることにより、[Ca^<2+>]_mを測定できることが示された。またDiazoxideは、PTPを介したCa^<2+>放出により[Ca^<2+>]_mを減少させて細胞保護効果を起こすことが示唆された。
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