研究課題/領域番号 |
12470154
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
横山 光宏 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40135794)
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研究分担者 |
井上 信孝 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10304099)
川嶋 成乃亮 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10177678)
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キーワード | 活性酸素 / 動脈硬化 / NADH / NADPH oxidase / 冠動脈疾患 / 酸化LDL |
研究概要 |
活性酸素の産生系として、NADH/NADPH oxidaseは重要な役割を果たしている。本研究は、血管細胞のNADH/NADPH oxidase系に焦点を当て本酵素由来の活性酸素種が、動脈硬化形成にいかに関わっているかを明らかにすることを目的としている。 虚血性心疾患の病態におけるNADH/NADPH oxidaseの役割を検討する目的で、directional coronary atherectomy (DCA)を施行した狭心症患者の冠動脈片を用いて、活性酸素産生、NADH/NADPH oxidase p22 phoxの発現様式、酸化LDLの局在を検討した。DCA冠動脈片における活性酸素は、酸化LDLの局在、p22phox発現と相関していた。不安定狭心症患者からのDCA標本における活性酸素、酸化LDL及びp22phoxの発現は、安定狭心症に比べていずれも増強していた。これらの所見から、NADH/NADPH oxidase系を介した活性酸素が、局所的な酸化ストレスの増大をきたし、粥腫の不安定化に寄与していると推察された。これらの観察は、冠動脈においてLDLの酸化的修飾にNADH/NADPH oxidase系が深く関わっていることを示すものと考えられる。我々は、培養血管内皮細胞を用いた検討で、酸化LDLの主要な構成成分であるLysophosphatidylcholineが、NADH/NADPH oxidaseを活性化させ、活性酸素種の産生を増強させることを明らかにしており、以上の結果を総括的に考慮すると、NADH/NADPH oxidase、活性酸素、酸化LDLの三者により、vircious circleが存在すると推察され、これらが相互にinteractionしながら動脈硬化の進展、さらには粥腫の脆弱化に関与していると考えられた。
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