研究課題/領域番号 |
12470157
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
上野 光 産業医科大学, 医学部, 教授 (50260378)
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研究分担者 |
笹栗 靖之 産業医科大学, 医学部, 教授 (60140646)
松田 武久 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60142189)
濱田 洋文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00189614)
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キーワード | 抗血栓分子 / 遺伝子治療 / CNP / 再狭窄 / 傷害血管 / 人工血管 |
研究概要 |
生体内遺伝子導入法を用いて傷害血管壁における炎症性増殖性病変の分子病態解明と新規治療法の開発を目的とする。 (i)CNP(C-type natriuretic peptide)遺伝子を導入すると細胞増殖抑制活性は弱いにもかかわらず極めて強い内膜肥厚抑制効果をラット頚動脈およびブタ冠動脈で観察した。CNPには抗血栓・抗炎症作用があるとの仮説を検証した。ウサギ頚動脈にバルーン傷害を加え同時にCNPを導入して7日後(炎症反応が最大となる時期)、血管を狭窄してシアストレスを加えると対照血管では血栓の形成とその解離が観測されるが、CNP導入血管では血栓形成は完全に抑制された。エピネフリン存在下でもその抑制効果は影響を受けなかった。接着分子ICAM-1,VCAM-1の発現およびマクロファージの浸潤で血管壁の炎症を評価するといづれの指標もCNP導入血管では強く抑制された。傷害が加わるとiNOS(inducible nitric oxide synthase)の発現が誘導されるが、CNP導入血管ではその誘導がさらに亢進し、その結果NO産生量が約2倍に上昇した。NO産生抑制剤を投与すると、抗血栓作用も抗炎症作用も消失した。以上から、CNP遺伝子を傷害血管壁に導入するとCNPの直接作用に加えて、iNOS発現が亢進し(その分子機構は不明)NO産生が増加して、主に同系を介して抗炎症・抗血栓作用を生じることが明らかとなった。CNP遺伝子導入の有用性をさらに支持する結果となった。(論文投稿中) (ii)TFPI(Tissue factor pathway inhibitor),CNP遺伝子を導入した線維芽細胞と生体材料を複合したハイブリッド型細小人工血管では抗血栓性が得られた。さらにVEGF(Vascular endothelial growth factor)遺伝子を加えると長期の抗血栓性が出現した(論文準備中)。
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