研究課題/領域番号 |
12470164
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 富 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125638)
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研究分担者 |
中村 潤 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50282067)
野田 哲生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10183550)
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キーワード | 神経芽腫 / ジーン・ターゲティング / Wntシグナル |
研究概要 |
我々は本研究テーマでコンディショナル・ジーンターゲティング法を用いて、神経芽腫の発生母地である神経堤細胞の分化発生過程におけるWnt signalの役割とその制御機構について解析を行ってきた。これまでに、神経堤細胞特異的にAPCを欠損したマウス胎仔では、骨・軟骨や心血管流出部に分化する神経堤細胞由来組織にアポトーシスが誘導され、その結果頭頚部異常や心血管異常がみられることを報告している。(Proc Natl Acad Sci USA 2002 Jan 8;99(1):297-302) 今年度はWntシグナルでAPCの下流で作用しているβカテニンの関与について、神経堤細胞特異的な活性型変異βカテニン発現マウス、βカテニン単独欠損マウス、APC/βカテニン二重欠損マウスを作製してより詳細な解析を行った。活性型変異βカテニン発現マウスでは胎生中期でも第一鯉弓以外の部位(頭部腹側、心血管流出路)でAPC欠損マウスと同様なβカテニンの蓄積とアポトーシスの誘導がみられ、その結果頭頚部異常・骨軟骨形成不全・心血管異常が確認された。従って、過剰なβカテニンの蓄積によってアポトーシスが誘導されること、神経堤細胞由来組織の大部分ではAPCはβカテニンの唯一の抑制因子になっているが、第一鯉弓においてはAPC以外の負の調節因子が積極的に関与していることが示唆された。APCαβカテニン二重欠損マウスではAPC欠損マウスの表現型が一部消失することが分かり、Wnt signalの異常な活性化がAPC欠損マウスの表現型に深く関与していることを強調する結果となった。また、βカテニン単独欠損マウスでは胎生中期で神経堤細胞の増殖能障害・アポトーシスの増加がみられ、出生時に頭頚部異常・骨軟骨形成不全を呈することが確認された。しかし、明瞭な心血管異常は確認できなかったことから、頭部神経堤細胞の発生分化過程においてβカテニンが必須であるが、心臓神経堤細胞の心血管流出路への発生分化過程においてβカテニンは必須ではないことが今回初めて明らかとなった。
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