研究概要 |
11q23領域から単離されたMLL遺伝子を用いてこれまでにAF5α, CBP, p300, ABI1, AF17q25, AF5q31遺伝子を単離し、今年度はさらにt(X;11)(q24;q23)のXq24領域よりMLLの新規転座相手遺伝子を単離した。3ヵ月のAML-M2患者の白血病細胞を用いてcDNA panhandle PCR法を行ったところ、117bpの未知の配列がMLLと融合している産物を得た。この配列をプローブとしてcDNAライブラリーのスクリーニングを行い、1361bpの塩基配列を同定した。ホモロジーサーチの結果、マウスのSeptin family遺伝子のSeptin6と高い相同性を有し、Septin6のヒトホモログと考えられSEPTIN6と名付けた。ノーザンブロット解析では胎児の心臓、成人の脳では2.7kbの転写産物のみが検出されたが、その他の組織や白血病細胞株では2.3, 3.1, 4.6kbの3種類の転写産物が全てに発現していた。MLL-SEPTIN6キメラ遺伝子はその他7カ月男児のAML-M2, 6ヵ月女児のAML-M1でも検出されたが、いずれも通常の染色体分析では同定することが困難な複雑な染色体転座を呈していた。SEPTIN6はt(11;22)(q23;q11.2), t(11;17)(q23;q25)におけるMLLの転座相手として同定されたCDCREL1,AF17q25/MSFと同じSeptin familyに属する遺伝子で、これらの3種類のキメラは同様のメカニズムで白血病化に関与していることが示唆された。現在MLL-SEPTIN6キメラ遺伝子を作成し、遺伝子導入により細胞の増殖能や分化能への影響を検討するとともに、発生学上の役割を検討するためにSEPTIN6のノックアウトマウスを作成している。
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