研究概要 |
11q23領域から新たにMLLの転座相手としてt(X;11)(q24;q23)よりSEPTIN6を、t(10;11)(q22;q23)よりLCXを、t(2;11)(p11;q23)よLAF4を単離、同定した。t(X;11)を有する3カ月のAML-M2患者の白血病細胞を用いてcDNA panhandle PCR法により、Septin familyのSEPTIN6を同定した。MLL-SEPTIN6融合遺伝子は7カ月男児のAML-M2,6カ月女児のAML-M1でも検出されたが、いずれも通常の染色体分析では同定することが困難な複雑な転座であった。SEPTIN6はこれまでにMLLの転座相手として同定されたCDCREL1,AF17q25と同じSePtin familyに属する遺伝子で、これらの3種類のキメラは同様のメカニズムで白血病化に関与していることが示唆された。次に、t(10;11)を有するAML(M2)with trilineage dysplasiaからcDNA panhandle PCR法を用いてMLLの転座相手遺伝子としてこれまでの既知の遺伝子と相同性のないLCX遺伝子を同定し、現在詳細を検討している。また、t(2;11)を有する急性リンパ性白血病(ALL)からMLLと融合遺伝子を形成するLAF4を同定した。症例は2歳女児で、サザンフロット解析によりMLLの再構成を認め、2番の切断点である2q11にはAF4,AF5q31と相同性の高いLAF4が座位し、MLL-AF4, MLL-AF5q31と同様、ALLであることからLAF4の関与を予想し、RT-PCR法により予想通りMLL-LAF4融合転写産物を同定した。MLL-LAF4は同じようにALLでみられるMLL-AF4,MLL-AF5q31と共通の構造を有し、同様の機序で白血病化に関与することが示唆された。
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