研究概要 |
平成15年度本研究終了時までに、SMAの遺伝子検査は157例に実施され、83%でSMN遺伝子欠失を認めた。このうちI,II型は125例であり、90%に遺伝子欠失を認めている。平成15年度は遺伝子解析およびSMAの疫学調査を実施した。SMA患者29名のSMN遺伝子をDNAとmRNAで解析した.DNAの分析ではI型で主にSERF1からNAIPまでの広範囲の欠失を,II,III型ではSMNtのみの欠失を認め,欠失範囲が広いと重症となる傾向があった.Hybrid geneは9例で存在した.最高到達運動レベルはhybrid geneのある例がない例に比しやや高い傾向にあった.クローニング産物の塩基配列解析では1例でSMNtの配列を認めた.得られた結果より29例のDNAの構築を分類すると,重症のI型では全例が真の欠失を示し,II,III型では遺伝子変換を示すものを認めた.SMNtからSMNcへの遺伝子変換によりSMNcの量が増えた例とSMNcからSMNtへの遺伝子変換によりSMNtの欠失を代償している例が存在し,真の欠失を示す例よりも臨床型は軽症になることが示唆された.遺伝子変換は軽症のII型,III型のみで認めたことから,SMN遺伝子における遺伝子変換は臨床症状の軽減化と関係すると考えられた.疫学調査では、1186施設に質問票を送り611施設から回答を得た。SMA患者は216例と報告された.
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