研究概要 |
中枢神経発現イオンチャネルに当てる研究法により、遺伝子バンクより前年度に引き続き、以下の発見を行った。 (1)広汎性てんかん熱性けいれんプラスII型で脳内Na^+チャネルSCN1Aの新規遺伝子異常2つを発見した。 (2)日本人の優性遺伝てんかん熱性けいれんプラスの発症に、世界に先駆け、Na^+チャネルSCN2A遺伝子が関与していることを発見した。この変異はNa^+チャネルのinactivationを遅延させ、Na^+イオンの流入が増すことを示した。これは、変異により、Na^+チャネルがより電気的により興奮しやすくなることを意味し、てんかんの興奮性の昴進と良く一致した。 (3)乳児重症ミオクロニーてんかんで脳内Na^+チャネルSCN1Aの遺伝子異常を計34ヶを44人の患者で発見した。その内容は以前報告されたものとは異なり、多くのミスセンス変異が存在することが分かった。 これらとは並行して、ラット胎仔脳cDNAライブラリーから、上記ヒト遺伝子に相当するラットKcnq2,Kcnq3,Chrna4,Chrnb2,Scn2a cDNAのクローン化を完了した。これを利用し、CHRNA4の遺伝子異常(変異により、アセチルコリンの感受性は変わらないものの、deactivationが早期におこり、電気的興奮がよわまる)によるチャネル異常を細胞レベルで明らかにした。 日本エスエルシーで、今春Chrna4に異常を持つ遺伝子組み換えラットが誕生した。現在、ノックインマウスの作成を始めている。
|