研究概要 |
われわれはこれまでに、ブレオマイシン(BLM)をマウスの皮下に頻回に局所投与することにより、線維化ではなく皮膚硬化を誘導することに成功した(Yamamoto T, et al : J Invest Dermatol, 1999;112:456-462.Yamamoto T, et al : J Rheumatol 1999;26:2628-2634)。BLMをマウスの皮下に連日局注することにより、3-4週後には投与部位およびその周辺に皮膚硬化が誘導され、この皮膚硬化は組織学的および生化学的にヒトの強皮症と類似することが確認された。皮膚以外の臓器は肺の線維化も誘導された。異なるstrainを用いての検討では、C3H,B10系列のマウスでは比較的早期に硬化が誘導され、これらのstrainはBLMに対して感受性が高いことが示唆された(Yamamoto T, et al : Arch Dermatol Res 2000;292,535-541)。培養線維芽細胞を用いたin vitroでの実験系においても、BLMが線維芽細胞からのextracellular matrixの遺伝子発現を抑制し、BLMが線維芽細胞に直接的に働いて線維化を誘導すること、さらにその機序としてTGF-βやCTGFを介する可能性を報告した(Yamamoto T, et al : Arch Dermatol Res 2000;292:556-561)。このモデルを用いて、抗TGF-β抗体、superoxide dismutase, interferon-γの治療効果を検討し、いずれも硬化を抑制する作用を示すことを報告した(Yamamoto T, et al : Clin Immunol 1999;92:6-13.Yamamoto T, et al : J Invest Dermatol 1999;113:843-847.Yamamoto T, et al : Arch Dermatol Res 2000;292:362-365.)。皮膚硬化機構を解析する一端として、現在このモデルを用いて、硬化した病変部局所におけるサイトカイン産生のTh1/2バランスを検討中である。
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