研究概要 |
われわれはこれまでに、ブレオマイシン(BLM)をマウスの皮下に頻回に局所投与することにより、皮膚硬化を誘導することに成功した(J Invest Dermatol 1999;112:456-462,J Rheumatol 1999;26:2628-2634,Arch Dermatol Res 2000;292:535-541)。このモデルを用いていくつかの治療薬の可能性を検討したところ、IFN-γはBLM誘導性皮膚硬化を抑制したが、halofuginoneは効果がみられなかった(Arch Dermatol Res 2000;292:362-365,Rheumatology 2002;41:594-596)。このモデルマウスを用いたin vivoの検討の結果、BLMによる皮膚硬化の誘導はTリンパ球を欠くSCID mouseにも誘導されT細胞に依存せずに起こりうること(J Invest Dermatol 2001;117:999-1001)、肥満細胞に非依存性にコラーゲンの遺伝子発現、蛋白産生が増されうること(Arch Dermatol Res 2001;293:532-536)を報告した。また、BLMにより誘導される皮膚硬化病変部の線維芽細胞は、α-smooth muscle actin陽性の筋線維芽細胞への形質転換が確認され、抗TGF-β抗体で抑制されることより、TGF-βを介して誘導されることが示唆された(Clin Immunol 2002;102:77-83)。さらに数種の系列のマウスで硬化のおきやすい系統とおきにくい系統とを比較したところ、BLMによって硬化のおきやすい系列はTGF-βの発現が亢進してみられた。
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