研究課題/領域番号 |
12470179
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
神保 孝一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30094238)
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研究分担者 |
松坂 英信 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20311889)
小野 一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20125298)
山下 利春 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50167706)
南辻 泰志 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00305236)
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キーワード | メラノソーム / チロシナーゼ / カルネキシン / 巨大色素顆粒 / 色素異常症 / メラニン形成 |
研究概要 |
分泌系で機能する蛋白は小胞体で合成され、高次構造を形成した後に、様々な内膜系を通過し修飾を受けて、目的地に運ばれる。その様な成熟化の過程を解明する為に、蛋白の生細胞でのダイナミックスを観察する手法が重要なツールとなりつつある。このためには温度変化を用いて構造形成過程を制御できる膜蛋白VSVGの温度感受性変異株ts045が細胞膜蛋白のモデルとして用いられてきたが、エンドサイトーシス系に向かう蛋白のうち、構造形成を容易に制御できるようなモデル分子は知られていない。チロシナーゼは色素細胞に発現し、メラノソームに局在する膜タンパク質だが、非色素細胞に発現した場合には同じ酸性顆粒であるリソソームに局在することが知られている。種々の皮膚色素異常症において巨大顆粒形成にはリソソーム系の関与が疑われる。そこで、本研究では先ず、チロシナーゼを非色素細胞に発現した場合の不安定なfolding特性を利用して、分子の合成の場から構造形成に伴うリソソームへのtargettingについての分子機構を解明した。 本実験では、wild typeのチロシナーゼを40度で培養したときにおこるmis-foldingを分析することにより、蛋白がこの温度下では凝集体を形成し、凝集体がnon-nativeな状態のまま可逆的にre-foldingすることを示した。更にこの現象を利用して細胞内移行過程を同調させてリソソームへの移行を可視化することに成功した。このような方法論は、チロシナーゼの成熟化に伴う動態変化に必須野分子内シグナルの解析を可能にするのみならず、その成熟化に様々な過程で関与する内膜系分子と関連づけて生きた細胞を用いて調べる事が可能となった。 これにより未だに謎に包まれた色素異常症の顆粒形成における内膜系膜動態制御の分子機構解明が可能となった。
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