研究課題/領域番号 |
12470183
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
窪田 和雄 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (40161674)
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研究分担者 |
齋藤 祥子 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (00125551)
堀 勝義 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00143032)
井戸 達夫 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (80134063)
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キーワード | 腫瘍血管治療 / 腫瘍血流遮断剤 / AC7700 / 18Fフルオロデオキシグルコース / LY80 / ボジトロン断層 |
研究概要 |
腫瘍の成長は血管の新生・成長に依存しており、腫瘍血管をターゲットにした新しい治療法が注目されている。新規開発されたチュブリン合成阻害剤AC7700は腫瘍血管に作用し、血流を遮断し、腫瘍を壊死に陥らせる薬剤であることが判明した。本年度の研究として、糖代謝トレーサー18Fフルオロデオキシグルコース(FDG)を用いてAC7700のin vivoにおける腫瘍への作用の特徴を調べた。LY80腫瘍を移植したラットにAC7700を投与し、1時間後にFDGを投与、更に1時間後に組織を摘出し、FDG集積を調べた。腫瘍へのFDG集積は対照の1/5に低下したが、全身の各組織への集積は、心筋および小腸で軽度の上昇が認められたのみで他には全く変化がなかった。AC7700の作用として腫瘍血管特異性が極めて高いことが示唆された。次に、AC7700の作用の時間経過を調べるために、AC7700投与1,6,24時間後に同様の実験を行った。腫瘍へのFDG集積は、1時間後に対照の5-10%に低下した後、6時間でも24時間でもほとんど回復せず、AC7700の作用が不可逆的であることが示された。一方心筋への集積は1時間後に著明に増加したが6時間以降は照と同じに戻っていた。チュブリン合成阻害剤に強心作用があるという報告があり、AC7700にもそのような作用があると考えた。次に腫瘍への治療効果をLY80の成長曲線と比較した。腫瘍移植後直径が1cmに達した時AC7700を一回投与したところ、腫瘍の成長は止まり、わずかに縮小し、5日目から再増大が始まった。FDG集積の変化を見ると、投与直後に大きく低下した状態が続き、4日目に治療前の80%まで回復し再発と判断できた。腫瘍体積の変化がわずかなのに対し、FDGの集積の変化は明瞭で、AC7700による腫瘍組織のviabilityの変化を、鋭敏に反映していると考えられた。AC7700の全身への作用および腫瘍への治療効果を調べるのにFDG集積の変化は非常によい指標となった。
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