目的:3'deoxy-3'[^<18>F]fluorothymidine (FLT)はチミジンキナーゼ1によりリン酸化され細胞内に留まるため、癌の増殖能を反映するポジトロン断層撮影(PET)製剤として期待されている。本研究ではFLTを前駆体から合成し、FLTの増殖能のマーカーとしての有用性および治療後早期の効果判定における有用性を動物実験で検討した。方法:インビボにおける増殖速度の異なる4種類の癌を移植した担癌マウスにFLTを投与し、投与1時間後のFLTの腫瘍への集積と腫瘍の倍加時間を比較した。C3H/Heマウスにマウス扁平上皮癌細胞SCCVIIを移植し、生着した腫瘍に20GyのX線を一回照射した。X線照射6時間後から7日後まで時間を追ってFLT、[^<18>F]fluoro-2-deoxy-D-glucose (FDG)、methyl-[^3H]-thymidine (Thd)、2-deoxy-D[^<14>C]glucose (DG)を静脈内投与し、投与1時間後の腫瘍への集積を測定した。ヒト子宮頸癌細胞HeLa移植BALB/c-nu/nuマウスを用い、光線力学治療施行24時間後にFLT、FDG、Thd、DGの集積を検討した。結果:インビボにおける腫瘍の倍加時間とFLTの集積に明かな関係は認められなかった。FLT、ThdはX線照射前に比較してX線照射6時間後に集積が著しく低下したのに対し、FDG、DGでは3日目において初めて有意に集積が低下した。光線力学治療24時間後においてはFLTとThdのみ腫瘍集積が有意に低下した。結論:FLTの腫瘍集積は放射線治療後および光線力学治療後においてFDGより早期に低下し、FLTは治療後早期の効果判定に有用なPET薬剤であると考えられた。
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