研究課題/領域番号 |
12470188
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 淳二 京都大学, 医学研究科, 教授 (70026970)
|
研究分担者 |
佐賀 恒夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40273445)
|
キーワード | アンチセンスオリゴDNA / デンドリマー / 遺伝子キャリアー / インジウム-111 / アビジン / 内照射療法 / オージェ電子 / 内部転換電子 |
研究概要 |
これまでの検討より、アビジンおよびデンドリマーはオリゴDNAを効率よく腹腔内播種腫瘍に運搬可能であることが分かった。最終年度は、オリゴDNA複合体のインビボでの安定性を検討するとともに、デンドリマーを介してアビジンを非常に高い比放射能で標識して、腹腔内播種腫瘍の内照射療法への応用の可能性について検討した。 オリゴDNAを^<111>Inで、アビジン-デンドリマーを^<153>Gdで標識して複合体を形成、腹腔内腫瘍を有するマウスに腹腔内投与、^<111>Inと^<153>Gdの放射能を別々に測定し、体内分布を比較検討した。血液と腎臓を除くすべての臓器および腫瘍において、^<153>Gdの方が^<111>Inよりも高い集積を示し、特に腫瘍集積に大きな差が認められた。これは、複合体が腫瘍に到達・結合後、局所で^<111>In標識オリゴDNAが遊離、血液中に戻り、腎に集積したものと類推された。複合体からオリゴDNAが遊離することは、オリゴDNAの集積性の低下をきたすが、一方では標的細胞に到達したあとに、オリゴDNAが複合体を離れて細胞内の標的に向かって自由に移動できることも意味すると考えられた。 続いて、デンドリマーに多数のキレート部位を導入した後にビオチンを介してアビジンと結合させ、^<111>Inで標識、高比放射能のアビジンの放射性標識体を合成した。合成された^<111>In標識アビジンは、癌細胞と結合した後、効率よく内在化することが示された。また、腹腔内腫瘍を有するマウスに^<111>In標識アビジンを腹腔内投与すると、腫瘍に高い集積性を示し、また大量の^<111>In標識アビジンを投与することにより、マウスの生存期間は有意に延長し、^<111>Inの放出する飛程の短いオージェ電子や内部転換電子による内照射療法の可能性が示された。 アビジンとデンドリマーは、腹腔内播種腫瘍に対するオリゴDNAの担体としてのみならず、内照射療法にも応用可能と考えられる。
|