研究課題/領域番号 |
12470193
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
倉知 正佳 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80019603)
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研究分担者 |
角田 雅彦 富山医科薬科大学, 付属病院, 助手 (30322762)
川崎 康弘 富山医科薬科大学, 付属病院, 講師 (80242519)
鈴木 道雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (40236013)
松井 三枝 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (70209485)
萩野 宏文 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (10272915)
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キーワード | 統合失調症 / 統合失調型障害 / 磁気共鳴画像 / 神経心理学 / 探索眼球運動 / 神経発達 / 社会性 / バソプレッシン |
研究概要 |
1.統合失調圏患者の脳画像、神経心理学的所見の検討:これまでに三次元磁気共鳴画像(3D-MRI)により、統合失調型障害患者と統合失調症患者の脳形態について得られた所見から、統合失調症の側頭-前頭葉2段階発症仮説を提唱した。次に統合失調型障害患者24例、統合失調症患者40例、および健常者48例について、関心領域法により扁桃体の体積を測定したところ、統合失調症患者、統合失調型障害患者いずれにも扁桃体の体積減少が認められ、上記の仮説が支持された。また統合失調型障害患者15例と統合失調症患者15例の神経心理学的プロフィールを比較した。言語性記憶は両群で同様に障害されていたが、注意および遂行機能の障害は統合失調症群でより顕著で、MRI所見に対応する結果であった。さらに統合失調症圏患者30例において、横S字図形を呈示した際の探索眼球運動の異常が、3D-MRIによる左下前頭回および左帯状溝辺縁枝分岐部の脳体積減少と関連することを示した。 2.健常者の脳の発達:3D-MRIにより、健常中学生23名と健常青年30名の脳形態を比較した結果、青年群では左側の内側側頭葉領域の体積が有意に大きく、思春期に海馬や海馬傍回などの内側側頭葉が形態的に発達することが示唆された。 3.ラット動物モデルを用いた検討:フェンシクリジン(PCP)またはMK-801を14日間投与したウィスター系雄ラットでは、生理食塩水投与群に比べ、社会行動が有意に減少するとともに、分界条床核、外側中隔、外側視床下部などでVla受容体結合密度が有意に減少した。本研究は、統合失調症における社会性の障害にアルギニン-バソプレッシン神経系の異常が関与している可能性を示すものである。
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