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2003 年度 実績報告書

分裂病の注意変換課題の処理に関わる脳内神経回路の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12470195
研究機関大阪府立看護大学

研究代表者

西川 隆  大阪府立看護大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (60273629)

研究分担者 篠崎 和弘  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
武田 雅俊  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
高畑 進一  大阪府立看護大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70342219)
キーワード統合失調症 / PET / 情動 / 意味記憶 / 扁桃体 / 上側頭葉
研究概要

統合失調症の脳解剖生理学的病態としては、前頭葉機能の低下に伴う注意の配分や注意の転換の障害のあることが近年の研究によってすでに十分明らかにされている。しかしStroopテストなどの情動的に中立な負荷課題による検討では相対的な前頭葉機能低下が示されるのみであり、統合失調症に特徴的な症状により接近した検討は困難であると考えられつつある。本研究では統合失調症患者の認知における情動的側面に注目した。被害念慮など統合失調症にみられる妄想の病態構造としては、健常者では相補的な関係にあって均衡を保っている「情動的判断」と「論理的解釈」の2つの認知システムが、前者に偏向した不均衡を呈する結果、情動的で直感的な判断が優先され、論理的検閲が作用しなくなっているものと解釈される。今年度は、この病態の部分的な健常者モデルとして、本来は情動的に中立な意味しかもたない対象を強い情動体験と関連づけることによってその意味を変容させる実験を行なった。手袋や森などのkeyとなる対象物を含む恐怖シーンの動画を作成し、10人の右利き健常者にkeyとなる対象物の写真を刺激素材としたPET賦活試験を行って、動画を見る前後の局所脳血流を比較した。動画を見た後にkeyとなる対象物に恐怖を感じるようになった5人の被検者では、動画を見る前に比べて右扁桃体と左上側頭回の血流が増加した。しかし、恐怖を感じなかった被検者では同部位に明らかな血流の変化を認めなかった。このことは、側頭葉皮質が関与する概念的意味の処理過程が扁桃体が感受する情動的価値によって修飾されるという認知機構を反映するものであると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Syunsuke Kawaguchi: "Interictal spikes in the fusiform and inferior temporal gyri of an epileptic patient with colored elementary visual auras : a 5-year longitudinal MEG ECD study"Neurore port. 14. 637-640 (2003)

  • [文献書誌] Kazuhiro Shinosaki: "Desynchronization in the right auditory cortex during musical hallucinations : A MEG"Psychogeriatrics. 3. 88-92 (2003)

  • [文献書誌] 鵜飼聡: "統合失調症の前頭前野・言語関連領野の活動のMEG研究"臨床脳波. 45. 703-710 (2003)

  • [文献書誌] 西川 隆: "新世紀の精神科治療 第6巻 認知の科学と臨床"中山書店. 404 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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