研究概要 |
1.多発性骨髄腫に認められる新たな染色体転座切断点の解析 1)t(14;20)(q32;q11)転座の解析:t(14;20)を有するSK-MM-1、SACHI細胞株における転座切断点を二重色FISH法を用いて同定した。そして切断点に近接したMAFB遺伝子のみがt(14;20)と関連して異所性発現している事を明らかにした。 2)t(1;14)(p34;q32)転座の解析:t(1;14)を有するODA細胞の転座切断点をクローニングした。その結果1p34の切断点はE3/LAPTm5遺伝子の第1イントロンに存在し遺伝子を不活化していた。60%の骨髄腫細胞株で本遺伝子の発現消失が認められ、この現象は転写制御領域のメチル化により引き起こされていた。 2.MGUS/SMM(smoldering multiple myeloma)症例の14q32転座について検討: MGUS/SMM患者16名の形質細胞を純化し、免疫グロブリン重鎖遺伝子領域とMUM1,MAFB, FGFR3,CCND1遺伝子領域のプローブを用いた二重色FISH法を用いて14q32転座の検討を行った。16例中9例(56%)に14q32転座を認め、その内67%はCCND1座との転座であり、免疫染色でCyclinD1の核染色所見が認められた。 3.ヒト多発性骨髄腫の分子基盤に基づく亜型分類:CCND1,FGFR3,c-MAF, MAFB, MUM1,c-MYC遺伝子の定量PCR法を確立し、19細胞株と症例30検体について検討した。その結果、CCND1転座、FGFR3転座、c-MAFもしくはMAFB転座からはじまる最低3種類の異なった骨髄腫発症のパスウェイが存在する事を見いだした。
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